命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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「キリスト教のリアル」が記す「福音派のリアル」
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     「キリスト教のリアル」の対談をしておられる福音派牧師は、牧会塾ディレクターの森直樹牧師。一昨日の記事でお知らせしたとおり、各教派とも標準からはかなり遠い方ばかりです。他教派というだけで、多くの福音派の牧師はビビります。しかも、この個性豊かなメンバーと臆せず対話をできる福音派牧師はそうはいらっしゃいません。

     その意味で、福音派内で「聖め派」と「会衆派」両方の教職経験を持ち、学校での働きを通じて、他教派とも交わりを持ち続け、なおかつ牧会塾の働きを通じて幅広く福音派内のリアルに触れてこられた森先生は、最適の方だと思うのです。同著の中では、福音派の信仰理解や教職や教会のありようを、時には最大公約数的に、時には最大公倍数的に紹介してくださっています。


     営業妨害にならぬよう一つだけ紹介しましょう。160ページにはこんな内容があります。神学校教育についてなのですが、概要だけ記します。

     アイデンティティーを確立せぬまま神学校に入学前し、頭だけ大きくなってしまうので、若い牧師は打たれ弱い。逆に神学を学んできたという権威を振りかざし、意に沿わぬ信徒を追い出す、反対に牧師が教会を追い出される場合も。聖書神学、組織神学、歴史神学ばかりで、自分のアイデンティティーがどこにあるか?言い換えれば霊性神学のようなことを神学校ではあまり学ばない。だから、若い人が潰れたり、過激に突っ走ったりする。

     すべてにあてはまるわけではないでしょうが、、福音派の神学校にありがちな傾向かと思います。自我の確立が遅れ気味の現代社会と家庭から献身者が与えられる現実を考えると、これは牧師養成機関にとっては、大きな課題なのでしょう。牧会塾も、こうした現状認識と問題意識から、始まっている部分があるのだと理解しています。こうした謂わば裏リアルも語ることのできるからこそ、森先生が適任だと思うわけです。


     教会に来れない方々のこと、うつになる牧師のこと、うつ病などで礼拝出席もできない牧師夫人のことなども記しておられます。私も奉仕先で、時々、牧師がうつであることを知ります。あるいは、そうだろうと察します。牧師夫人が心を病み一度もお会いせず教会を失礼することもあります。当人の信仰以外の理由で教会に行きたくてもいけない方々がいらっしゃいます。そうした現実を目の当たりにしても、自分には何もできないと思います。

     森先生のすごいところは、これらの課題を指摘するだけに留まらず、その課題に向き合い、同士と共に克服する具体的努力をしておられることです。教会に行けない方のためにクローズドの礼拝を持っていること、20年も「うつ牧師の会」を続けていること、うつ病などで礼拝出席もできない牧師夫人のための集会をされていることなどが、記されています。


     時には他の教派との共通項で、福音派のリアルを語り、時には、他教派との相違点を通じて、福音派のリアルを際立たせておられます。他教教派との対話の中で、福音派のアイデンティティーと課題を示してくださり、まさに適任者であります。森先生が語る「福音派のリアル」は、普通に教会生活を送っていても、知ることがあまりない牧師夫妻のリアルや教会のリアルが満載です。

     というわけで、話題の新刊「キリスト教のリアル」、福音派のクリスチャンは、森先生の発言を中心として他教派との対比で、「福音派のリアル」を読まれるのもよいのではないかと思います。
    | ヤンキー牧師 | キリスト教界(論説シリーズ) | 18:30 | - | - | - |
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