命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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「舟の右側」の「焚き火を囲んで・・・」が深おもろいい!
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     久しぶりに雑誌「舟の右側」を購読したら、誌面がさらに変わっており、びっくり。「リバイバルジャパン」のころの面影はどこへやら。「舟の右側」というタイトルが示す「伝道的なコンセプト」も影を潜め、今では、「神学の広場」状態との印象を持ちました。しかも、聖霊派神学というよりは、どちらかと言えば、先端の福音派神学を扱っているようで、興味深いです。

     2月号から始まった連載「東風(こち)吹かば」は、タイトルからして、信仰エッセイかと思いきや、これが、東方教会の司祭による連載。「東風って東方教会かよ!」と思わず、ツッコミ。とにかく教派を問わず、読者にとって有益なライターを自由な発想で採用する編集長はスゴイと思います。


     そして、最新号を読んで、「編集長は油田を掘り当てたのでは?」と絶賛したいのが、「焚火を囲んで聴く神の物語」という連載記事であります。著者は日本イエスの大頭眞一先生。これが「深おもろいい」のです。神学的に深くて、面白さに笑えて、いい話なのです。

     「初代教会の次が宗教改革で、その次が戦後・・・?その三つ間に神学はないの?歴史は学ばないの?」との心配の声を福音派陣営から、時にお聞きしますが。この記事には、そんな声とは無縁の大頭先生の深く広い神学的素養の一端を垣間見る思いがします。しかし、その美点だけなら、「油田」の評価はしません。大頭先生がスゴイのは、神学的考察を、論説でなく、物語形式で提示していることです。そして、その物語の語り口がひたすら面白いのです。とぼけていたり、しょーもなかったり、機知に富んでいたり、抜群です。

     本文はもちろんのこと、学術論文なら、無味乾燥になりたちな「脚注」が、同誌寄稿者らの実名での引用があったり、見事なボケや小ネタなどもあったりで、高尚な内容が身近に感じられます。そうして、楽しく、笑いながら、神学的考察の旅ができるのです。「神学」というとどうしても専門用語が連発され、優れた知性の持ち主以外は理解困難になりがちです。物語神学のような先端のものは、さらにそうなるでしょう。しかし、この表現と様式は、神学を大衆化し得るのでは?と期待するのです。

     
     勝手な想像かもしれませんが、これは「物語神学」に立脚していると考えて間違いなさそうです。キーワードは「焚火」で、聖書が示す真理が、一つの命題で示されるものではなく、焚火を囲んでの対話の中に示されるという神学があるようです。2回目に相当する今回は、贖罪論を扱っているのですが、アウグスティヌスに由来する伝統的な贖罪論を問い直し、東方教会の見解も紹介しながら、その疑問点を示します。そして、キリストの三職(祭司、預言者、王)に相当する贖罪の三類型が相互補完的であり、三つが焚火を囲み会話をする中に神学的真理を見ようとするのです。

     「真理とは何か?」はギリシャ的発想、「真理とは誰か?」がユダヤ的発想と聞いたことがあります。まさに、この記事は、後者であろうと思います。贖罪の三類型による対話が示す真理を、キリストの十字架の物語の中に見出そうとしておられるように私は読みました。(間違っていたら申し訳ありません。)

     旧来の贖罪論を問い直すのですから、ある意味ラディカルな試みなのでしょう。しかし、物語という様式での考察や伝達は、抵抗感なく、私たちを物語の世界に引き入れて、焚火を囲む対話に参加させます。真理が命題としてではなく、物語中の対話の中に、示されていくかのようです。従来の神学枠組みや自分が育った団体の伝統的教理絶対視するなら、この記事の内容とコンセプトは、「真理の相対化」「伝統的教理の過剰軽視」「安易な神学上のエキュメニズム」との批判を受けかねないでしょう。

     大頭先生ご自身も、記事の冒頭で、前回の掲載を振り返って、「焚火だけに炎上?」「キリスト教界追放?」と恐れを抱いておられます。私自身も物語神学の賛同者でもなく、十分理解しているわけでもありません。でも、楽しく面白く神学的考察の焚火の対話に参加できました。そして、教えられたり、考えさせられたりです。神学的考察と霊性の深まりが同時進行して行くような感覚を持ちましたが、これは著者が意図しておられることなのでしょうか?

     物語神学に立ち、物語を通じて、物語神学によって聖書の真理を考察していくと思われるこのシリーズ。賛否はあるでしょうが、神学に関心のある方、信徒の皆さんに伝わる神学の伝達方法を求めている方には、ご一読をおすすめします。「アダムの目にも涙」というタイトルからエンディングに至るまで、まさに「深おもろいい」です。


    「舟の右側」2月号はこちら。「焚火を囲んで・・」は1月号から連載が開始しています。
    年間購読予約をされるとお得のようです。
    http://www.revival.co.jp/2016/funeno-migigawa-01.php



     参考までに「物語神学」を検索してみて適当と思われた学術論文を紹介しておきます。東大で教鞭をとる宗教心理学者である堀江宗正先生の論文です
    http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/26083/1/rel01505.pdf

     以前に「リバジャパ」でも「他者からも学ぶ 神学交歓」として山崎ランサム和彦先生が物語神学を紹介しています。
    http://www.revival.co.jp/rj/2011/08/post-179.php
     
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