命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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親ラブ族の結婚問題〜依存対象奪還のための結婚破壊行為
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     近年、何名かの牧師から、親子共依存に起因すると思われる結婚問題のご相談を受けてきました。クリスチャンの親子で、表向きはあまり問題は見られない、むしろ順調に歩んできた親子です。子どもである息子や娘が結婚します。すると、親が子どもの結婚生活に干渉し始めます。これだけなら、従来からあった「子離れできていない親」が起こす典型的問題です。しかし、二つの面で、これまでの事例とは大きく異なります。

     一つは、「介入」というより「破壊」なのです。子どもの結婚生活に「口を出す」「手を出す」のではなく「ミサイルを撃ち込む」のです。「外交上の介入行為」でなく、「安全を脅かす軍事行動」なのです。そして、第三者から見ると、最終目的が「子どもの結婚生活向上」ではなく、「子どもの結婚の破壊による子どもの奪還」のように見えてしまいます。

     過干渉な親によくある「こうした方がいい」「これはどうなってるの?」というお節介や心配ではないのです。親が子どもの結婚相手の悪口や批判などを言うのです。しかも、客観的に見れば、夫婦関係は概ね良好で、結婚相手には、とりわけ非難されるような要素がないのです。極端な場合には、良好な夫婦関係なのに、別居や離婚するよう指示・命令する親さえいます。牧師や周囲は、真面目なクリスチャン親子に起こった突然かつ異常な出来事に驚いたり、ショックを受けたりです。

     心理的自立を欠き依存的な親は、子どもの結婚によって、子どもという依存対象を失うわけです。そうなると無意識行動として、依存対象を取り戻そうとします。それで、無意識に子どもの結婚を破たんに向かわせる「破壊行為」に及ぶわけです。クリスチャンの親ですと、依存対象奪還のためには信仰さえも手段化します。たとえば、「あなたの結婚はみこころでなかった」などと、新婚の息子や娘に断言して、子どもを不安に陥れます。


     もう一つの違いは子どもの側の応答です。従来なら、子離れできていない親から、結婚生活への介入を受けた子どもは、戸惑いや葛藤はあっても、結婚関係を守ることを優先しました。強い姿勢で「子離れしろよ」「自分たちの結婚に口出さないで」とはっきり拒否をします。また、ある夫婦は、聞き流したり、無視したりで、親と適当な距離をとって、結婚を守ります。

     しかし、親子共依存は違います。自立不足で依存的な子どもは、結婚を機に、依存対象を親から結婚相手に移行させることがあります。でも、いつもそうとは限りません。長年依存してきた親への依存心を強く残したまま、結婚してしまうと、親のこうした「不当な破壊行為」に応答してしまうのです。親の間違った言い分に従いたくなってしまうようです。どうも、子どもの側も長年慣れ親しんだ依存対象からの依存的要求に、依存することで応答してしまうようです。

     聖書の真理は明らかに「夫婦>親子」です。夫婦は愛し合い一つになる関係、親子は愛して、離れ、別れる関係です。しかし、親子共依存関係にあると、クリスチャンでも、親子共に「親子>夫婦」という価値観で歩んでいます。ですから、親は子どもの結婚を破壊してでも、依存対象を取り戻そうとします。親から「共依存ラブコール」を受けた子どもの側も、結婚相手を捨てでも、かつての共依存関係に帰ろうという心の動きが起こります。

     特に子どもの側が、信仰的に親から自立していないと、未信者の場合より問題が深刻化するようにお見受けします。子どもが神様との個人的関係を構築しておらず、あくまで親を通じて、神様につながっているまま、結婚することがあります。20年から30年もの長期間をかけて、「親に従うこと=神に従うこと=祝福」と刷り込まれて育って結婚に至った場合もあります。

     これら心理的自立だけでなく、信仰的にも自立しおらず親に依存している子どもたちは、結婚しても夫や妻の意向よりも、親の意向に沿うことが、神様の御心であり、祝福であると、根拠もなく自動的に考えてしまいます。それで、親からの不当な結婚破壊攻撃を、「自治権侵害」「領空侵犯」「安全を脅かす不当な軍事行為」と認識できず、「独立国家への愛ゆえの警告」「不遇な独立国家への母国帰還の呼びかけ」と受け止めてしまうのでしょう。


     自国から、独立した国家を、まるで自国の領土のように考え、

     失った利権を取り戻そうと他国に対して、安全を脅かす不当な軍事行為を仕掛け、

     独立国家を壊滅させ、再び自国の領土にしようとする。


     国際関係にたとえるなら、いかに異常であるかが分かります。これは、国際社会からの非難を一身に受けるべき、ゆるされざる暴挙です。


     社会参加し、結婚した子どもさえ、依存対象とし続け、世話を焼くだけでは満足できず、依存対象奪還のために、結婚関係を破壊する親たち。それを、親への依存性の故に、それを不当と認識できず、親の意向に沿うことを願う子どもたち。

     放置しておけば、子どもの全生涯を犠牲にしてでも、自らの依存欲求を満たし続けていく、自立できていない未熟な親たち・・・。


     近年は、この類の牧会事例をいくつもお聴きするようになりました。今後、日本社会では、もちろんのこと、キリスト教会でもこうした事例は増加するものと予想しています。教会の中で、また、周囲で、こうした事例に触れることがあれば、今日の記事が、「何が起こっているか」を理解し、「では、どうすべきか」を考えていく一助になれば、感謝なことです。
    | ヤンキー牧師 | 育児・信仰継承シリーズもの | 14:26 | - | - | - |
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