命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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「神主・狩野英孝」は対岸の火事か?
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     今朝のテレビ報道によれば、「僕、いけめん」で知られるお笑いの狩野英孝(実家は由緒正しい神社)が、お亡くなりになった父上のあとを継いで、年始には神主を務めたのだとか。そして、元旦の一日にして、準備していた「おみくじ」が"Sold Out"になったことをSNSに記したそうです。

    「狩野英孝 実家神社のおみくじがまさかの売り切れ 元日たった1日で」
    http://news.goo.ne.jp/article/dailysports/entertainment/20160102041.html

    <追記>
    「狩野英孝 神主との兼業批判にも平然」
    http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2015/12/19/0008661107.shtml

     この記事によれば、どうも、お笑いがダメになった時の保険として神主資格を取得したようです。「お祓いとお笑いを両立」と不敬虔なギャグを飛ばしつつ、お笑いにも神主職にも専心しない姿勢を見せて、さらに好感度を低くしております。(以上、追記)


     狩野英孝と言えば、信頼できず、好感度が低いのは芸風だけではありません。高校時代のあだ名は何と「いんちき」、さらには、結婚後、数か月にして浮気現場を写真週刊誌に撮られて、芸風と人格がかなり近いとの印象を世間に与えております。その後、お清めや禊でもしたのでしょうか?数年前から、年始や七五三などの繁忙期は、実家の神社で神主として務めているようです。

     実家の神社は、大変古くからの神社で由緒正しいところだとか。地域としても廃業やあれ果ててしまうことは避けたいような歴史的価値もあるようです。神社が基本的に世襲で、特別な時期以外は神主がいなくても維持できることも、こうしたあり方を可能にする一因なのでしょう。元旦は、普段にはない大賑わいとなったとのこと。


     そこで、想像したのです。「自分が氏子(うじこ)ならどうするだろう?」と。私が氏子なら、「神主・狩野英孝」は、絶対反対すると思います。彼の芸風ではなく、これまでの行動や品性が、神主にふさわしいとは思えないからです。神主がいなくても、何とか、氏子たちで神社を維持して、繁忙期には、掛け持ちでいいから、資格者を期限限定でお呼びして、儀式等をしていただくことを考えるでしょう。


     世襲とは言え、適正が極めて疑わしい人物が、神主を務めるに至った背景には、次の三点があったと推測されます。


    (1)父親たち家族と氏子と地域社会の三者が神社存続を願った。

     千何百年も続く神社なのですから、一族としても、地域としても、絶やすわけにはいかないでしょう。「おかげとたたり」という日本的宗教観からすれば、絶やすことは、一族と地域に大きな恐れをもたらすに違いありません。「ぜひとも、続けたい」という積極的思いよりは、「やめてはいけない」「やめられない」という消極的思いが強いのでは?と勝手に想像します。


    (2)しかし、氏子が存続を望むのは建物と機能のみで、宗教生活や布教ではない。

     そもそも、神道に「布教」という概念があるかどうか私には不明ですが、この脱宗教的な社会と日本人の宗教観を考えると、氏子をはじめ地域の方々の多くは、宗教的な意味で神社を大切に思い、真剣に参拝し、神道の教えに生きて、地域に布教しようとは、思ってはいないでしょう。初詣や七五三など、生活習慣に残る宗教文化的儀式を行うという機能、由緒正しい神社がもたらす安心機能のようなものの維持を願ってたのだろうと予想します。つまり、社会が必要とする人間的機能が継続すれば、本来の宗教的役割はあまり問わないということです。言うまでもなく、おみくじが、一日で完売する盛況ぶりも、それがもたらす神社と地域への経済的貢献も、本来の宗教的役割ではないはずです。


    (3)そのために、職業適性も宗教的使命感もない人物への人間的動機のみでの世襲がなされ、ますます、本来の宗教性が失われている。

     狩野英孝が浮気発覚や父上の死後に、人が変わったというのなら、話は別ですが、普通に考えれば、職業適性や宗教的使命感があるとは思えません。ですから、(1)と(2)の要因が、(3)という本来好ましくない結果を生んだのだと思うのです。つまり、宗教的本質面から見ての「不適切者であることの問題」より、「機能の存続」という実利性が優先されたということです。



     そこで、考えたいことがあります。それは、上に示した三点は、キリスト教会にとって「対岸の火事」と言えるか?ということです。残念ながら、近年は、該当事例や類似事例を見聞きすることもしばしばです。奉仕先の教職夫妻や役員方から相談を受けたり、ボヤキをお聞きするのは、特に地方の教会における該当事例です。上の三つをキリスト教会に当てはめてみましょう。


    (1)団体と父親たち家族と信徒の三者が教会の存続を願った。

     これはある意味、当然のことです。長年にわたり地域で礼拝がささげられ、宣教がなされてきたのですから、特に教会数が限られた地域では、よほどのことがない限り、存続を願うのは当然でしょう。


    (2)しかし、教会員が存続を望むのは建物と機能のみで、真実な礼拝をささげること、み言葉に生きることをではない。

     真実な礼拝者が高齢者であろうと数名であろうと、そこに集うなら、教会が継続され、兼業牧師や日曜限定牧師が仕えてゆかれるのは、尊いことです。神様はその教会と牧師を喜んでくださると私は思います。誤解を招きそうなので、断っておきますが、「兼業牧師」とは厳密には「テントメーカー」とは異なり、牧師以外の職業も本業との意識を持つ牧師のことです。今後は、こうしたあり方をする牧師が各地で登場し、増加するのでは?と予想します。

     しかし、真実な礼拝をささげるためではなく、教会存続自体が目的であったり、精神的安定機能が第一の目的であるなら、神様はその教会の存続と一牧師がそこで仕えることを喜んでおられるだろうか?と感じてしまいます。それが、教会の存在意義だろうかと疑問に思うからです。

     礼拝出席して、説教が聞けて、それが心の拠り所よりどころになればよいという自己充足的信仰状態に陥り、地域への証詞や次世代への信仰継承を本気で願わず、経済的に牧師を支える責任など微塵も考えないなら、むしろ、平日は働き、日曜日だけ牧師やってくれたら、都合がよいことになってしまいます。果たしてこうした教会のありようを神様が喜ばれ、教会の存続を願われるだろうかと考えてしまうのです。


    (3)そのために、職業適性も召命もない人物への人間的動機のみでの世襲がなされ、ますます、教会の本質が失われている。

     教会存続が人間側によって希望され、教会存続が自己目的化してしまうと、牧師の条件は「教会という建物・組織と儀式の継続」が最優先となります。そうなれば、教職者不足のために、職業適性と召命は不問となります。時には、教会継続のために審査基準が意図的に低くされてしまいます。場合によっては、団体の教会論や教職論や規則さえ有名無実化されます。

     特に、牧師子弟は、親や信徒たちから教会存続のための献身を期待をされ、それに応えることが、神様の召しへの応答であるかのように、考え違いをしてしまいます。その結果、職業適性も召命もない人物への人間的動機のみでの世襲がなされるのです。神学校入学前や卒業前、あるいは現場に出る前に、考え違いに気が付けばいいのですが、その三度のチャンスを逸してしまうケースも無きにしも非ず。本来ならありえない「狩野英孝牧師」の就任となります。同じく「不適切者であることの問題」より、「機能の存続」という実利性が優先されてしまうのです。


     この年始に報道された「神主・狩野英孝」は、キリスト教会にとって「対岸の火事」と言えるか?

     あちらこちらで、見聞きする限り、「対岸の火事」ではなく、「わが岸の小火(ぼや)」くらいにはなっているというのが、個人的な実感です。
     

     教会の存続が最優先とされ、それが自己目的化するなら、その目的を果たすための牧師たちが就任し、教会の本質と存在意義は失われていくのでは?

     真実な礼拝者と教会論・教職論が先行するなら、それにふさわしい牧師が就任し、その牧師が兼業であれ、日曜限定であれ、教会の本質と存在意義は失われることはないのでは?

     
     神主・狩野英孝の報道に触れて、そんなことを考えました。



     以前に教会存続についてのシリーズ記事を書いておりますので、参考になさってください。
               
    | ヤンキー牧師 | キリスト教界(論説読みきり) | 22:05 | - | - | - |
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