命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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「自分のサイズがわからぬ絶対者なき相対者」と「神の前での謙遜から『ありのまま』という固着への自動変換」
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     「舟の右側」にエッセーを連載しておられる深谷美枝先生が、FBにアップされた「自分のサイズがわからない」との記事に大いに教えられました。また、それに応答しての大坂太郎先生のコメントには、さらに深い示唆をいただきました。

    深谷先生のFBはこちら。該当記事は12月1日の正午ごろアップのものです。
    https://www.facebook.com/mie.fukaya.9?fref=nf


     深谷先生のご許可をいただき、以下に紹介します。(太字は私の編集です。)

    自分のサイズがわからない

     この国で悲劇的なのは、生きる力が弱い人たちが、自分には何の価値もないと思いこんでしまったり、少し力を持つ人たちが全能感をもって好き放題して隣人を虐げたり、人間のサイズが小さすぎたり大きすぎたり、サイズが全く決まらないことなんです。人と人との間だけでは、本当の自分のサイズはわからない。...

     どんなにダメでも弱くても価値があるんだと言ってくれる神がいて、はじめて、自分は小さくなりすぎなくていられる。どんなに勝っても力が付いたように感じても、それでいいのか?と問いかけてくれる神がいて、はじめて、傲慢になりすぎないでいられる。
    無宗教の悲劇って、底層部分ではこんなことになるんだと思います。


     以上が引用です。聖書の言葉を通じて神様からの語り掛けを受けるなら、人は、自分のサイズを心得て、大きすぎず、小さすぎもしない適正サイズで生きられるのでしょう。絶対者という物差しがあって、初めて人は自分のサイズを知るはず。

     しかし、神という絶対者との交わりを持たず、人間という相対的存在相互の交わりだけでは、自分のサイズを測り得ません。一気に全能感に満たされるか、逆に自己否定や無力感に打ちひしがれるかの両極端です。「100か0か」「神サイズかゼロサイズ」の二つに一つになりかねません。深谷先生のご指摘の通り、「唯一絶対者なる神」という観念の乏しい日本では、その二極化に歯止めが効きにくいのだろうと思うのです。

     絶対者との交わりを持ちえず、自分のサイズを測り間違えて、二極化してしまう方々は、失礼な表現でしょうが、「自分のサイズがわからぬ絶対者なき相対者」と言い表すことができるでしょう。その向かう先は、果てしない傲慢か、果てしない自己卑下となってしまうのでしょうか?飼う者のない羊のように弱り果てている方々をあわれまれたキリストのように、クリスチャンたる者、愛とあわれみの思いを持ちたいと願うのです。間違っても上から目線で、未信者を見下ろしてはならないでしょう。


     そのことをさらに確信させてくれたのが、この深谷先生の記事に対しての大坂太郎先生のコメントでした。まさにクリスチャンが上から目線で未信者を評価している場合ではありません。絶対者という物差しを持っているはずのクリスチャンも、神様からの語り掛けを聴き間違えるなら、すなわち、聖書の教理バランスを著しく欠くなら、全能感と無力感の両極端に向かいかねません。

     以下に大坂先生のコメントを紹介します。

     この傲慢がいけないのです。こいつの所為で、神の前に素直であるべき謙遜が、「ありのまま」という固着に置き換えられる。無宗教の悲劇ですが、福音が福音として語られないと、教会でも同じような事が起こってしまいますね。祈りが必要です。


     大坂先生が意図されたこととは違ってしまうかもしれませんが、このコメントの私なりの受けとり方を記してみます。

    傲慢」「神の前に素直であるべき謙遜」、「ありのままという固着」。

     この三つの言葉が、私の中で、結びつきました。そして、思ったのです。
    私たちの傲慢は、神の前での謙遜を「ありのまま」という固着へと自動変換させてしまうのだと。福音が福音として語られなければ、そうなるのだと。

     たとえば、「あなたは、ありのままで愛されている」という福音のみが語られ「あなたはキリストに似た者とされます」「心の一新によって自分を変えなさい」との福音が語られなければ、それは福音が福音として語られていないことに相当すると私は考えます。

     そして、その「福音ならざる福音」は、「あるがまま派キリスト教」となり、私たちの内なる高慢さに働きかけ、神の前での謙遜を「ありのまま」という固着へと自動変換させてしまうことがあるように観察します。つまり、「自分をあるがままで愛しておられる」という絶大な愛の恵みさえも、あるがままの自分に固着するために利用するのです。「あるがままで愛されている」という恵みをもって、成長も自己変革も聖化も拒否する自分を正当化するのです。

     このことは、いわば多数の政府高官から「あるがままの愛」だけを選び、独裁者にしたてようなことです。「あるがまま国家最高主席」彼は独裁体制を確立すると残りの高官であった「救われた後の歩みに関する教理」を粛清するのです。粛清を免れた高官も、この独裁者に従わざるを得ません。救われた後の歩みに関する教理はすべて「あるがままの愛」という最高真理に従属するものとして解釈され、扱われます。それどころか最高真理の支持材料として利用されるのです。

     もし、「救われた後の歩みに関する教理」が「あるがままの愛」と同等、あるいはそれより上位に位置づけようとすれば、それは、そのクリスチャンの独裁国家では、「造反」と見なされ、「粛清の対象」とされます。かくして、救われた後の歩みに関する教理は、すべて従属的に捻じ曲げられるか、聖書に書かれていても、無視されるのです。傲慢とは、粛清を連発する独裁国家に負けぬほどの独裁国家をクリスチャンの内に建て上げます


     神の前に素直で謙遜であれば、そうはなりません。いいえ、なりようがありません。「この自分があるがままで神に愛されている」という事実は、「愛して下さった方が願う自分に変えられたい」「愛して下る方が喜ぶ歩みがしたい」との応答となってゆきます。そして、福音が福音として語られているなら、そのクリスチャンはキリストに似た者とされることを願い、心の一新によって自分を変える努力をし続け、神の栄光を現す歩みへと前進することでしょう。

     そうです。傲慢こそが、本来あるべき愛への応答を破壊するのです。世界の中心の座に神でなく、自らを座らせ、絶対者の前であたかも自分が絶対者であるかのようにふるまう姿勢が、クリスチャン本来の歩みを正反対へと歪めます。そして、福音が福音と語られないとその傲慢を放置してしまうのです。それどころか、福音ならざる福音は、その傲慢を正当化し、増長させてかねないのです。信仰者の内に「あるがまま」という固着による独裁国家を築く助けとさえなってしまいます。

     あるがままで愛されている自分を全面肯定し、成長と自己変革と聖化を拒否し、自分のなりたい自分を目指し、自己願望の実現を通じて自分の栄光を現すことを目標として歩むのです。自分をあるがままで愛してくださる神をそのためのサポーター、スポンサーとして利用するのです。神様は自分を今のままでも愛し続けてくれるから、ずっと祝福・応援してもらえると信じているのです。

     これはクリスチャンが完全に自分のサイズを見失い絶対者気分になり、全能感に浸っている姿です。そうした聖書とは正反対の信仰理解に人を導き、正反対の歩みをさせるのが、私たちの内なる傲慢なのでしょう。


     この国では、唯一絶対者という観念を持ちえぬ人々が、自分サイズがわからず、愚かな全能感か悲惨な無力感のいずれかに陥っています。しかし、福音が福音として語られなければ、クリスチャンたちは、神の前での謙遜「ありのまま」という固着に自動変換して、信仰生活を送ります。まさにクリスチャンが自分のサイズを見誤っている姿です。もしかすると、今日の日本のキリスト教会においては、これが例外的な姿ではなくなってきているのかもしれません。

     ここに記したことが大坂先生の意図を正しく受け止めての考察かどうかは自信がありません。しかし、深谷先生の記事に対してこのコメントをされた大坂先生の心には、神学面での大きな危機感がおありだったのだろうと邪推しています。

     
      「自分のサイズがわからぬ絶対者なき相対者」「神の前での謙遜から『ありのまま』という固着への自動変換」
     
     日本の現状を憂える深谷先生の愛の思い、日本の教会のある面について危機を覚えておられるであろう大坂先生の愛の思いを、想像しながら、それらの思いへの共感をもって、また、自戒も込めてこの記事をアップします。拙い記事が読者の皆様の一助になれば、幸いです。

    | ヤンキー牧師 | キリスト教界(論説読みきり) | 13:40 | - | - | - |
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