命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
<< コント「ダリの名画の現代性」 | main | 性犯罪被害のカミングアウトが意味するもの(2) >>
性犯罪被害のカミングアウトが意味するもの(1)
0
     クリスマス等で数週間も書けないでいた記事があります。それはレディー・ガガが自らのレイプ被害をカミングアウトしたことです。カミングアウトに至る経緯や意味のある関連事項が書かれているので、この記事を紹介しておきます。

    ラジオでレイプ被害を告白して「レディー・ガガ」に全米ファン騒然〈週刊新潮〉
    http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141220-00010000-shincho-ent

     マドンナやシンディーローパーらも下積み時代に、同様の犯罪被害を経験していることを公にしています。どんな思いで何を願って公言したのでしょう。記事によれば、アメリカ人女性の5人に一人がレイプ被害の経験者だと言います。正確な数字でないとしても、異常な多さかと思います。

     アメリカは女性の人権が尊重される社会である反面、根底には、その反動であるかのように根強い男性主義があるようです。また、性暴力に結びつくような深刻な社会背景や不幸な家庭環境もあるのだろうと予測します。

     ガガは、その不幸すぎる経験以来、長期間にわたってPTSDに苦しめられたそうです。被害者女性の中には、自尊感情が著しく低下して、自傷行為に至ったり、自分を罰したり傷つけるような恋愛や性行動に走る方も、多く見られます。レイプなどの深刻な性犯罪被害が一人の女性の人格を決定的に傷つけ、その人生を悲惨なものに変えていくことは珍しくはないのです。

     うちわ問題で辞職した法務大臣は性犯罪の厳罰化を目指しておられたそうです。厳罰化については賛否両論あるでしょうし、厳罰化が犯罪抑止につながるとの見解には異論もあるようです。ただ、身体的傷害罪などから考えると、罰が軽いという印象は受けます。

     性犯罪は、法律的には「性的自由の侵害」と解釈されます。もちろん、性的自由は極めて重大な人権であって、そのことの侵害は、重大な犯罪でしょう。しかし、私自身は、強姦罪などは、もはや性的自由の侵害の範囲を超えた「人格的殺人」や「魂の殺害」に相当すると思うのです。厳罰化には安易に賛成はしませんが、本来、殺人罪に準ずる犯罪と位置づけらをれべきだろうと個人的には考えています。その意味で、男性一般の認識はまだまだ浅いだろうと感じています。


     今回、ガガがカミングアウトに至ったのは、Swine(豚野郎)という曲とその演出でした。この楽曲は、まさにガガのレイプ被害を歌ったものだとのことで、ステージの演出もレイプを想像させるものだったようです。

    参考までに"Swine"の英語の歌詞はこちらです。歌詞だけでは、レイプ被害を歌ったとまでは特定しかねます。
    http://www.kget.jp/lyric/187698/Swine_Lady+Gaga

     多くの方には、ここで疑問が生じます。なぜ、「深く傷ついたが故に思い出したくない辛すぎる経験を歌として表現するのか?」と。私なりの見解では、理由は単純です。「ガガには、それが必要だったから」です。


     レイプなどの深刻な性犯罪被害による傷は「言語化」することで癒されることが知られています。親しい家族や友人やカウンセラーなど信頼できる誰かに話す行為だけで、傷は癒され始めます。真摯に受け止めてもらえて、共に悲しんでもらえて、適切な応答や支援をうけると、傷の癒しはさらに進展します。(逆に、被害者側が責められたりすると、傷は深まります)

     ガガには、それを言葉で言語化できなくても、アーチストとして楽曲によって言語化する能力とチャンスがあったのでしょう。Swineなる楽曲を発信し、それをライブで歌い、踊りながら、彼女は、主観世界で癒しを受けてきたのだと思います。ストレートな言語でないので、他者に明確にしられることなく、自らの内部で癒しが進行してきたのでは?と考えるのです。ですから、まさに、ガガは癒されるために、傷の癒しの一プロセスとしてこの曲を作詞・作曲し、ライブパフォーマンスを行うことを必要としていたのだろうと私は推察します。

     そして、今回、レイプ被害を公言できたのは、多分、ガガがそこまで癒されていたからだと思うのです。公に自らの悲惨な体験を認められるレベルまで、心の傷が癒されてきたのでしょう。ですから、彼女は今度は、自分が、レイプ被害を受けて苦しんでいる多くの女性たちを助けたいと願って公言したのだと私は推測しています。これは、被害者だからできる力あるサポート、勇気に満ちた決断と評価すべきでしょう。私はガガを、「性的分野における傷ついた癒し人」と呼びたいです。

     強く大胆で恐れを知らぬ表現者であるガガですが、その内側には、深い性的傷を持ちつつ苦しみ続けた普通の一女性がいたということでしょうか?この性的傷を受けた一女性アーチストの勇気あるカミングアウトが、同じ性的傷に苦しみ、自分を傷つけ、投げやりな人生に傾きかけている多くの女性たちが、癒され、回復していくための一助になればと願っています。

     というわけで、今回のガガのレイプ被害カミングアウトは、その発言のショッキングさに目を止めるのではなく、公言したガガの思いや勇気に目を止め、さらに、自らの公言を通じて、実現を願ったそのことをじっくりと考えて欲しいのです。


     明日は、ガガ同様、自らのレイプ被害をカミングアウトしている日本の女性表現者たちについて記します。
    | ヤンキー牧師 | ポルノ・アダルトサイト・性暴力 | 08:35 | - | - | - |
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031   
    << October 2018 >>
    + SELECTED ENTRIES
    + RECENT COMMENTS
    + RECENT TRACKBACK
    + CATEGORIES
    + ARCHIVES
    + MOBILE
    qrcode
    + LINKS
    + PROFILE