命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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代理母出産障碍児受け入れ拒否(4)植民地支配、奴隷制度、基地原発問題との類似性
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     シリーズの四回目です。何でもオーストラリアの法律では、国内での代理母は、慈善的な申し出に限定されているようです。つまり、法律で営利的なあり方を禁じているわけです。こうなると国内での代理母による出産は困難となります。しかし、法的規制のない貧困国であれば、それなりの金額で可能となるわけです。と言いますか国際間のルールが確立されておらず、可能になってしまっているのが現状のようです。このことが、植民地支配、奴隷制度、基地・原発問題と類似性をもっており、そこに問題性があるのではないかというのが、今回の記事の趣旨であります。

     国際的視点からすれば、富裕国の白人が、貧困国の有色人種を代理母としているという構造があります。自国民を代理母の持つリスクから守るが故に、結果として、貧困に苦しむ他国の女性を犠牲にしているのが現状です。もちろん、両者には、合意と契約があるのですから、単純に「侵略行為による子宮に対しての植民地化」とは言えないでしょう。しかし、合意と契約が成立する要因には当然、富裕国と貧困国の経済力の差異があるわけです。ですから、強者が弱者の子宮を力の論理で使用権利を得ているという構造はあるはずです。

     このことは経済の世界では続いていることで、私たちが恩恵にあずかっている安価なバナナやチョコやコーヒー、そして衣料などの背後には、かつての植民地時代同様の奴隷労働や児童労働などがあります。政治的な植民地支配はなくても、経済面での植民地支配は部分的に継続していると私は思うのです。今後、法的規制がなされなければ、インドとタイなどは、かつての列強国によって、女性たちの子宮は植民地支配同様の扱いを受けるのではないかと危惧をしております。

     白人なら断わる業務を有色人種が引き受けているという構造は、かつての奴隷制度と共通しています。代理母は危険を伴いますし、営利目的でなければ、すすんで申し出る女性はそうは多くないでしょう。実際、オーストラリアでも受容に対して供給が極端に少ないから、海外に代理母を求めるのです。アメリカでの代理母の費用は1000万だそうです。それに比してタイ人女性なら、150万で済むのです。有色人種が低賃金で危険な仕事に就くという階級構造は、欧米国では、当たり前のことなのでしょうが、それを、国家間で行うのはどうかと思うのです。これまた代理母の意志によることですから、「奴隷制度」というのは、飛躍しすぎかもしれません。それなら、せいぜい「階級制度」で収めておくとしましょう。

     最後に思うのは、これは、基地・原発問題と似ているということです。何度もこのブログでは、引用していますが、ある牧師は、「沖縄の基地問題は、政治問題でなく、民族問題だ」と指摘されました。大和民族が、貧しく産業の乏しい異民族に、必要悪ともいえる基地を押し付け、それと共に産業と雇用の場を与えたということでしょう。原発も同じく貧しく産業の乏しい地域に都市部の電力供給のため押し付けてきたという経緯があります。基地も原発も、補助金があり、基地と原発に依存させてしまい、地域の産業が発展しないという問題があります。

     代理母もよく似ています。タイ人にとっての150万円は多分、何年分かの年収に相当するでしょう。富裕国の国民が車を購入する金額が、貧困国の何年分かの年収なのです。莫大な補助金と差し替えに基地や原発を受け入れる地域と似てはいないでしょうか?一度、これを体験したら、貧困国の女性が、普通に働こうとするだろうか?と心配です。妻に代理母をさせて働かない夫たちも増加するのでは?これも基地と原発に依存して産業が発展しない地域の問題と共通かと思うのです。

     今回は、外形的構造の共通性で、本質面の共通性を指摘するというかなりの暴論ですが、少しでも、説得力があればうれしいです。合意と契約の上とは言え、富裕国の白人が、貧困国の有色人種女性に、謂わば「子宮レンタル」という危険で人権侵害的な業務をさせていているという構造は、「21世紀の植民地支配」「両者合意による生殖系奴隷制度」「生殖の世界における基地・原発問題」とでも言うべき一面を持っているのではないでしょうか?
    | ヤンキー牧師 | 生命の尊厳・生命倫理・医療倫理 | 13:20 | - | - | - |
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