命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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代理母出産・障碍児受け取り拒否(1)〜抱えきれない課題の多さ
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     タイ人の代理母が男女双子を出産、男児の方が障碍を持っていることが出産前に判明しており、依頼者のオーストラリア人夫妻は、受け取りを拒否し、代理母夫妻が、受け止めて育てることになったとのこと。日本でも、代理母を認める法案が作られつつある中、その課題を投げかけることになっています。既に二児の母である代理母と引き取られたダウン症男児のために、募金がなされ、昨日4日の段階で既にに2000万円を超える支援が集まっているとのこと。


    こちらのNHKニュースが初期の報道だったようです。
    「代理出産で障害児 引き取り拒否に議論」
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140803/k10013507601000.html


     本ブログでは、かつて野田聖子氏の代理母出産に際して、本質的な問題を記しました。光栄ななことにその記事の一つは、朝日新聞系のWebronzaで「注目のブログ記事」として紹介されました。代理母自体の問題と関連事項についてはこちらをお読みください。

    野田聖子議員、養子縁組を断念しての、代理母出産

    野田聖子議員に学ぶ女性のステージごとの決断と責任

    野田聖子議員の妊娠報道、「好き嫌いは本質に先立つ」?

    WEBRONZA編集部が「注目のブログ記事」として本ブログ記事を選出

    野田聖子議員のいのちに対する責任意識


     
     この件は、より明確に代理母制度が持つ様々の課題を浮き彫りにしました。子どもを望みながら、障碍児を拒否し、結果として代理母に押し付ける依頼者の身勝手、いわば、「親のエゴ」「金持ちの横暴」や「欲望の無限肯定」の問題があります。言うまでもなく、ここには、出産前での障碍者差別の正当化という問題があります。

     国際的視点からすれば、豊かな国の白人(かつて亡国の名誉白人であった日本人も含む)が、貧しい国の有色人種を代理母とするわけです。もはや代理母は純粋なボランティアではなく金銭獲得方法も兼ねたものへと変質します。これは、ビジネスチャンスでもあり、仲介業者も出てきます。そして、そこには、必然的に貧困の問題人種差別的側面があります。「強者と弱者」との視点に立てば、これは「子宮に対しての植民地支配」「生殖における奴隷制度」「生殖界の基地・原発問題」とも呼ぶべき一面もあるでしょう。とりわけ、出産の代理だけでなく「中絶の代理」まで、させようとしたことは、国際社会に「強者横暴の極み」を見せつける結果となりました。


     さらには、「子どもは親を選べないのに、親は子どもを選べるのか?」という問い掛けもあるはず。そして、障碍を持つなら受け取り拒否との態度には、「命の商品化」や依頼者の「顧客満足」を求められる生殖ビジネスの問題もあるわけです。それにともなう法整備や国際的ルール作りも課題です。いいえ、こうした問題が当初から予想されているのに、法整備をしなかった各国政府の責任を私は問いたいです。

     最後に考えたいことがあります。それは生まれ来た双子の男女です。弱者は代理母や貧困国の有色人種だけではありません。生まれてきた双子はそれぞれが、ある意味、弱者であり、犠牲者です。私たちは忘れてはなりません。代理母問題の最大の当事者は、この双子なのです!

     この方法と経緯によって生まれ、大人たちのエゴやしがらみによって人生を左右されて、それでも生きていくのはこの双子なのです。障碍の有無によって双子が、豊かな家庭と貧しい家庭に別れて育てられるのです。まるで映画かテレビドラマです。この子どもたちには、出自を知る権利(ルーツを知る権利)は、保障されるのでしょうか?あるいは、生き別れた双子であったことを嫌でも知ることになった時に、どうなのでしょう?

     代理母を認めていくということは、こうした生まれ来る子どもたちへの重大かつ厳粛な責任を負っているのです。それを果たせる見込みもなく、わが子を望む金持ち依頼者側の希望のみが実現される制度はどうかと思うのです。金持ち白人の不妊夫婦が自分の希望をかなえようとしたその方法が、国と人種を超えて、様々な弱者を苦しめ、世界中の人に課題を問いかけたというのが、今回の件の全体像でしょう。


     国境を超えての代理母が、こうした問題を生むことは予想されていたのです。受け渡し拒否もあれば、受け取り拒否もあったのです。悲しいことに過去には、今回と同様の理由でインド人の代理母から、受け取り拒否をした日本人夫婦もいたのです。既に、日本もこの問題の当事者なのです!

     課題が多すぎる今回の件ですが、上にあげた問題のいくつかを取り上げて、明日から何度かにわたって、記事を記してみたいと願っています。
    | ヤンキー牧師 | 生命の尊厳・生命倫理・医療倫理 | 11:16 | - | - | - |
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