命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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アメリカ大教会の牧師、不祥事辞任、その背景とそこからの教訓
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     アメリカでも会衆の多さでは、10位内に入るカルバリーチャペル、フォート・ローダーデール教会の主任牧師であるボブ・コイ氏が突然の辞任。理由は二名の女性との性的罪であったとのこと。このことは4月になり、既にネット上で伝えられており、私自身は、村上密師のブログで知りました。チャック・スミス師を、最も尊敬する牧師の一人とする私は、個人的ショックもあり、記事にできないでおりました。少し冷静になったところで、正確な情報と事の本質を教えてくれるよいブログ記事に出会ったので、今回、記事にしてみました。

     関心のある方は、まずは、こちらのブログ記事をぜひ、ご一読ください。海外の情報はどうしても、間接的になりがちなのですが、この記事は、カルバリーチャペル内部の教職ならではの正確な情報、内部の視点からの本質についての考察、また、示唆に富む内容があると思います。

    「ロゴスミニストリーのブログ」より「カルバリーチャペルの衝撃」
    http://www.logos-ministries.org/blog/?p=5359


     もちろん、起こったことは、残念な牧師による性的罪です。しかし、このことの背景として「イマージング・チャーチ・ムーブメント」という超教派的流れとその主導者であるリック・ウォレン師の存在が指摘されています。「ポストモダンの時代にあっての有効な福音理解と実践」として、今後、日本にも入ってくるかもしれません。

     私は責任もって、判断も評価もできませんが、以下のような批判的な声は、念のために知っておくことは有益かと思います。また、私自身は、決して、パーパスドリブンとリック・ウォレン師の反対者(賛同者でもなく判断保留中)ではありませんので、その点は誤解なさらないでください。

    「パーパスドリブンとイマージングチャーチムーブメントの欺き」
    http://moriel.jp/news/wp-content/uploads/2010/05/rick-and-emerging-jp-pdf.pdf

     このことが、不祥事辞任の直接の原因はないでしょうが、背因の一つとして知っておくべきことだと考えています。


     聖書に登場するリーダーの70%は、晩年に残念な状態となり、生涯を終えているとある方からお聞きしました。知人牧師からは、「列王、歴代誌を読み進む中、主にある僕たちが倒れるのは働きの前半、中盤ではなく、後半戦」「C.S.ルイス著悪魔の手紙の中には、患者(クリスチャン)を長生きさせることが何よりも重要。そうすれば背信に導くチャンスはいくらでも出てくるとの趣旨が書かれている」とのコメントをフェイスブックでいただき、深く納得です。

     ここ10年ほどあちらこちらの教会にお招きいただき、日本でも、200人超規模の教会を導いてこられた指導者には、同じような課題や危険のあることを覚えます。とりわけ大規模教会の信徒の皆様におかれましては、そのことを覚えて、牧師のために祈り執り成していただければと切望します。それは決して「牧師を疑う失礼な行為」ではなく、「誰も免れ得ない危険から牧師を守る愛の行為」なのですから。

     また、「働きの前進、拡大と共に神の前に自らを省みることが不可欠」との声もありますが、まさにその通りでしょう。これが、リーダーを守る最大の秘訣でしょう。信仰のリーダーにはこれによって自分を守ることは絶対です。しかし、同時に、このことは、自分ひとりのことですから、簡単にごまかせてしまうのです。ここに「孤高の指導者」ならではの落とし穴があるように思います。


     ですから、信徒の皆さんのとりなしの祈りに加えて、「妻から叱ってもらえる健全な夫婦関係」「正直な葛藤や課題を伝えて、客観的で適切なアドバイスをいただけるメンター」「信徒の本音が聞けるフラットな交わり」「悩みを分かち合える教職者相互の交わり」などが、大規模教会の牧師を守るのです。正直でフラットで本音を語ることのできる交わりこそが、牧師を孤立と自己喪失と逸脱から守るのです。

     しかし、皮肉なことに、教会の規模が大きくなるほど、また、晩年になればなるほど、当人も周囲もこうした正直かつフラットな交わりができなくなってしまいます。私はこのことの方を、むしろ、本当の課題のように受け止めています。当人にも周囲にも、ある力学が働いて、大規模教会の牧師を「誰からも何も言われず、自分を見失い逸脱するリーダー」にしていき、逸脱が本格化した時には、既に誰の声も聞かぬ回復困難状態に陥っているように観察しています。だからこそ、伝道者生涯の後半戦に入る前に、自分を守る交わりの形成が必要不可欠だと考えるのです。

     
     この残念な事件の中でも、希望が与えられたのは、事後の対処です。アメリカ在住の知人牧師からは、よい印象を受けているとお聞きしました。牧師不祥事が起こった時こそ、教会と団体の成熟度が露呈されるものです。逆に言えば、教会と教団の本当の成熟度は、牧師、同労者の重大な罪の発覚にどう応答し対処するかに現われるわけです。

     「事実と聖書」によって判断し、愛をもって、当事者を悔い改めと回復に導けるか?「情としがらみ」によって問題の本質をあいまいにし、教会を混乱させ、当人の真の悔い改めと回復に導かない対処に終始するか?が、教会と団体の成熟度のバロメーターとなるのでしょう。

     通常、聖書的な教職観と教会論が説かれていても、それが、現実化しているかどうかは、そこで測られます。教会が大規模になったのは、「牧師に依存的な信徒の数によるのか?」「自立し成熟した信徒に数によるのか?」も、そこで見えてしまいます。「牧師の真価は、その牧師が教会を去った後に問われる」と言われますが、「教会と団体は、牧師不祥事の時に問われる」というのも、また、真理なのでは?

     ただ、個人的には、教会の歴史も浅く、長年、牧師性善説で何とかやってこれたために、日本の教会がこの点で未成熟であるのは、寛容な目で見るべきだと思います。その上で、この時代にその面での成熟を目指して、具体的な取り組みが望まれるのだろうと考えています。


     コン・ヒー氏、チョウ・ヨンギ氏に続く世界的大教会の牧師不祥事は、悲しむべきことであり、反面教師として学ぶべきでしょうが、事後の教会の対応については、今回は、むしろ模範とすべきなのかもしれません。従来、あまりなかったケースと言えそうです。伝えられている該当教会の事後の姿は、闇の中に光を見る思いすらしてします。

     
     ボブ・コイ氏の不祥事による辞任にある背景の紹介と、自分なりに学んだ教訓を記しました。拙く失礼な記事かとは思いますが、信仰的リーダーが守られること、それを実現する教会の成熟のための一助になれば、うれしく思います。
     
    | ヤンキー牧師 | 教会不祥事&AERA報道関連 | 19:47 | - | - | - |
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