命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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「卵活」の時代?(下)女性の現実と医療人の見解
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     AERAはキャリヤ志向の女性が読者層なのでしょう。読者にとって切実な問題としてこの「卵活」を伝えています。「卵子老化報道」は、各メディアを通じてなされており、現実に結婚を願う男性はもちろん、その(孫の顔が何としても見たい)母親にまで、かなり浸透しています。そして、残念なことに、行き過ぎて、偏見や先入観になってしまっているようです。

     記事によれば、実は政府も、少子化対策の一環なのでしょう。「女性手帳」という構想で「妊娠適齢期」を国民に周知させようと検討したそうです。最終的には取り止めとなったのだとか。多分、「女性の性を国家が指導するのは好ましくない」との判断からと予想します。

     「具体的にはどうなのか?」と知りたい方は、是非、記事をお読みください。「高齢不妊のリスクを回避」との見出しの後には、具体的に採取の採取、保存、費用などが書かれています。30代後半で結婚すると、二人目を望みながら、不妊に悩むケースがあります。結果の出ない不妊治療に多額を投じるケースも多いそうです。女性たちは、不妊リスク回避と経済効率を考えて、卵子凍結を検討するのだとか。

     この記事の優れたところは、卵子凍結を検討する女性たちの生々しい現実を描いているところです。その一つとして「凍結しても相手がいない」という見出しがあります。つまり、卵子を凍結しても、結婚相手が見つからなければ、願うように出産ができないという厳しい現実です。一人の女性は「卵子を凍結するより、精子を探せよと自分でも思うのですが・・・」と痛々しい思いを吐露しています。

     30代後半で交際している男性のいない未婚女性の割合は68%なのだとか。一方、卵子を凍結しても、自然妊娠が可能な45歳までの出産が望ましいとされます。では、35歳から45歳までの女性が結婚できるか?と言えば、できる女性は少数派です。キリスト教会では、教会外より結婚の可能性は高いでしょうが、それでもかなりの苦戦には違いありません。

     記事で紹介されている一女性は、43歳になり、ネット上で「精子ドナー募集」をします。シングルマザーで生きる決断をし、相手には結婚も、養育費も求めないのです。真面目な気持ちで応答した男性のうちの四人と通常の性関係をもったのですが、妊娠に至りませんでした。異常な行動でしょうが、真面目な女性をここまで追い詰めかねない女性を取り巻く状況も理解したいものです。

     本ブログでも、追い詰められる女性の現実と周囲の理解と支援の必要を訴えました。
     「38歳は女性が最も暴挙に出る年齢?」
    http://blog.kiyoshimizutani.com/?eid=3488
     
     「では、医療者の見解は?」ということで、日本の産婦人科医を代表であろうお二方の見解が、掲載させています。これは実に興味深いです。A医師は賛成派のようです。その根拠は「卵子凍結は予防医療」というもの。これまでも、がん治療で不妊が予想される場合に卵子凍結は事実上認められてきたそうです。今後の高齢出産増加を考えれば、卵子凍結は当然。女性の社会的活躍を応援する意味でも活かされるべき技術との評価。

     それに対してB医師は、慎重派で、本年中に学会で卵子凍結のガイドラインを作成する予定だそうです。B医師は、女性たちの思いは理解しながらも、問題点を指摘します。最大の問題点は、卵子凍結がさらに女性の晩婚化と高齢出産を助長すること。そうなれば社会も企業も、出産が女性のキャリヤを妨げないようにする努力を怠り、本来の問題が放置されてしまうことです。現代人が考えるより出産は原始的で崇高な行為であるとの価値観を示し、25−35歳の生殖適齢期での自然妊娠が本来望ましいとの見解を述べています。

     今後、一部とは言え、一定の収入を持つキャリア志向の女性たちは、卵子凍結を検討するようになっていくだろうと私は予想します。当然、医療倫理が問われます。また、この技術が、女性の社会進出を応援するのか?逆に男性主義社会克服を遅らせるのか?も問われることでしょう。

     この問題は、社会全体の問題ですし、世の男性たちにも責任の半分はあるように思います。でも、葛藤し苦悩し、追い詰められていくのは、女性であるとの現実を考えると、やりきれない思いがします。少なくともキリスト教会だけは、教会全体の問題、男性の責任でもある問題として、受け止めていただければと願ってやみません。
    | ヤンキー牧師 | 妊娠・出産・不妊治療 | 16:16 | - | - | - |
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