命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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「卵活」の時代?(上)〜妊娠出産の一人時間差攻撃
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     今週、月曜に山手線乗車中のこと、AERAの広告のメイン記事に思わず注目。「婚前卵活で産みたい」〜「仕事+若い卵」へ30前に卵子凍結・・・・・・・。

    こちらがAERA最新号の広告です。
    http://publications.asahi.com/aera/nakazuri/image/20130805.jpg

     昨年、NHKスペシャルで「産みたいのに産めない〜卵子老化の衝撃」の放映以来、一般にも卵子の老化が知られてきました。本ブログでも何度かにわたって取り上げました。婚活に励む女性読者の皆様にはきつすぎる記事かと思いましたが、厳しい現実と今後予想される展開を知っていただきたく願い、シリーズ記事にしました。

    「卵子老化す、故に婚活あり?」
    http://blog.kiyoshimizutani.com/?eid=3402

    「卵子の老化〜あわてず、焦らず、さりとて侮らず(1)」
    http://blog.kiyoshimizutani.com/?eid=3475

    「卵子の老化〜あわてず、焦らず、さりとて侮らず(2)」
    http://blog.kiyoshimizutani.com/?eid=3476

    「卵子の老化〜あわてず、焦らず、さりとて侮らず(3)」
    http://blog.kiyoshimizutani.com/?eid=3477


     残念ながら、日本の社会は、女性が仕事に励みながら、結婚、出産、育児をしていくことが極めて困難です。では、30代前半まで仕事に励みつつ、結婚、出産、育児に向かうかと言えば、今後はそれがかなり困難になることが、予想されています。卵子の老化に社会が過剰反応して、「35歳以上の女性は妊娠困難」「子どもを望んで結婚するなら35歳未満」という先入観を持つ男性やその母親らが急増しているからです。

     これらは、日本社会の未成熟、間違った過剰反応なのですが、これによって不当な被害を受けるのは、職業生活の充実と結婚・出産・育児の両立を願う女性たちです。女性が、職業生活で一定の信頼や業績や評価を得られるのは30代以降でしょう。しかし、35を過ぎると結婚と出産のチャンスが激減するのは現実ですから、結婚と出産を願うなら、職業生活の充実を途中で捨てて、結婚に踏み切らなくてはなりません。多分、日本の社会では、35歳の時点で、職業生活に充実感を持ちながら、結婚し、出産と育児を経験しているという女性は極めて少数派かと思われます。

     それでは、所業生活の充実と結婚・出産を両立するには、どうすればいいのか?ということになります。そこで、出てきたのが、「卵子の凍結」であります。男性主義的な社会、妊娠についての行き過ぎた先入観に対抗するためには、35歳までに職業生活に励み、若い卵子をもって、確実に妊娠できることをアピールして結婚しようと願っているのです。

     就職のための活動は、「就活」、結婚のための活動が「婚活」なら、出産のための卵子に対する活動は「卵活」というわけです。結婚前に卵子を凍結しておき、妊娠の確率を高めなおかつ結婚相手として評価をもらうのです。これが「卵活」!


     これはいわば、「卵子老化衆知時代における仕事と出産両立の裏技」と言えるでしょう。あるいは「女性のライフステージにおける妊娠一人時間差攻撃」と表現すべきかもしれません。保存しておいた若い時代の凍結卵子を胎外で人工授精させ、胎内に戻して妊娠継続するわけです。これは、まさに「裏技」であり「一人時間差攻撃」でありましょう。

     AERAの記事には、30歳までに結婚相手が見つからなければ、卵子凍結に踏み切るつもりの女性企業家が登場します。彼女は、「35歳になったただの私と、20代の卵子を持ってる35歳の私、どっちがいい?」と10人の男性友人にリサーチした結果、8人が後者を選んだとのこと。「経済的不安を持つ男性も増えているから、稼ぐ女性が人気。稼ぐ女性が若い卵子を持っていたら無敵」と発言。

     「稼げて妊娠しやすい女性」を彼女は目指しているのです。確かに一石二鳥のためには、卵子凍結は、有効な手段でしょう。不当な男性主義社会と出産に対しての先入観に対抗せざるを得ない女性の置かれた立場は、もっと理解されるべきでしょう。こうした不条理な葛藤の中にいる女性の思いはもっと知られてしかるべきと思います。

     同時に、自己実現を目指す自立した女性と思える彼女が、一方で、「男性に求められる女性」を目指していることには、考えさせられます。「この日本の社会において、本当の意味での自立した女性の生き方とは何だろう?」と悩んでしまいます。「社会での自己実現+男性からの高評価=女性の自立」ではないだろうと思うからです。

     どこまでも男性からの評価によって、自己価値確認をし、男性に依存して、アイデンティティーを確立しようとする試みは、創世記3章16節後半が記す「神を離れた故に祝福を失った女性の生き方」なのではないかと思うのですが、どうでしょう?卵子凍結は自分の願う生き方を実現するには、有効でしょうが、本当の意味での女性の自立した歩みをサポートするのかな?と疑問を抱いてしまう私です。本来の女性の自立、現実の男性社会の中でのその困難さを突きつけられた思いもしています。
    | ヤンキー牧師 | 妊娠・出産・不妊治療 | 16:32 | - | - | - |
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