命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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安藤美姫の選択「スケーターになるために生まれてきたのではない」
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     昨夜はニュースで、安藤美姫選手が、4月に出産していたことを告白。今日は、メディアはその話題でもちきりであります。オリンピック出場や選手生活のことを考えて、周囲には出産に反対する声が強かったようです。しかし、彼女は自分の強い意志によって出産を選択したとのこと。そのことに関して語った言葉の一つがこれ。

     「スケーターになるために生まれてきたのではない」

     彼女はスケートやオリンピックのメダル以上に本質的で優先すべきものが分かっていたのでしょう。自分がスケーターである前に一女性であることを、優先したのです。アメリカでの生活を通じて、アメリカのアスリート達が、個人生活を大切にしているのを目撃し、彼女の価値観は変えられたようです。国民が期待する「公人」としての自分よりも、「私人」としての自分の幸福を優先したということでしょう。

     日本では、女性芸能人や女性アスリートは、「個人生活を犠牲にしてでも、芸能活動、競技生活に励むべき」との恐ろしい価値観があるように思います。安藤選手自身、休暇やデートを目撃されると「そんな時間があったら練習すべき」と言われたのだとか。自分を棚に置いて、公人には、個人生活を許さず、滅私奉公を強要する日本文化は異常だと私は思います。

     以前の記事で故・大原令子さんが、芸能活動のため中絶をしたことをお知らせしました。同情されるべきでしょうし、その壮絶な女優根性は、立派なのかもしれません。しかし、どのような優れた表現芸術も演技も作品も、生まれ来る一人のいのちに勝るだろうか?と私は思うのです。

     同様に、生まれ来る一人のいのちを犠牲にしてまでして、獲得するほど、ソチ・オリンピックの金メダルは価値があるのでしょうか?安藤選手はその選択をしたら、一生後悔をせず、胸を張って自分の人生を歩めただろうかと考えると、今回の選択は、本当によかったと思います。

     思えば、8歳にして父を事故死で失った彼女です。女癖が悪いと噂される年配の敏腕コーチと公私共に歩んだのも、その影響との見解は強いようです。個人的には「安藤美姫は、失った父親からの愛情をパートナーに求め続ける不幸恋愛者になるのでは?」と心配をしておりました。今回の件で、その心配がなくなったわけではないのですが、最悪の選択をしなかったことで一安心しています。

     かつて水泳の千葉すず選手は、「メダルばかり欲しがる関係者は異常」との発言が上部から問題視され、干されて、その後に目立った活躍もなく、選手生命を終えてゆきました。私は今回の安藤選手の選択とカミングアウトは、ある意味、千葉すず選手のリベンジのように受け止めています。

     女性アスリートに対して、「オリンピックでのメダル」「国民の期待」「公人」などの名目で、個人生活や一女性としての幸福を認めてこなかったあり方が、今回の件で、終わっていくことを私は切に願っています。

     明らかに彼女は、スケーターになるために生まれてきたのではありません。それ以前に女性として、生む性として、神の恵みにあずかるようにこの世に生を受けたのです。そのように神からの普遍的恵みは、個別的恵みに優先されると私は思います。

     薬物依存で破綻した女子体操選手、10代から競技に明け暮れ人格的成熟がないまま、結婚が破綻していった女子スキー選手などが記憶に上ります。そうしたことは、もう、終わらせましょうよ。女子アスリートの指導者は、勝利やメダル至上主義に走りすぎず、競技人生が終わった後も幸せになれるよう人間、女性としても健全に育成していただければと願います。

     きっとよほどの事情があって、父親を報告できないのでしょう。願わくは、それらの諸事情が克服されて、生まれ来た娘さんの父にあたる男性と共に娘さんを育て、幸せな人生を歩んでいただければと思っています。

     人一人のいのちは地球より重いのです。いいえ、既に2000年も前に、神様のいのちと等価交換を申し出ていただいているのです。オリンピックのメダルも、国民の期待も、栄光の競技人生も、たった一人の芽生えた小さないのちに勝るものではありません!

     大震災を経て、人命の尊厳を突きつけられてもなお、人命より、他のものを優先すべきとする人々が安藤選手の周囲に多くおられたことは残念でなりません。それほど、「世の誉れ」は芽生えたいのちや一女性の人生などの本質を見失わせるのでしょう。

     妊娠に至るプロセスについてはどうかと思うところもありますが、厳しい状況の中で、優先すべきものを優先する選択をした安藤選手にアッパレです!そう、あなたは、スケーターである以前に、一女性として生まれてきたのですから。   

    | ヤンキー牧師 | 生命の尊厳・生命倫理・医療倫理 | 14:44 | - | - | - |
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