クリスマスには、欠かせない悪役もいます。その人物は言うまでもなくヘロデ王であります。ユダヤの政治的王である自らを脅かす存在となるイエス様の抹殺を図るのが、このヘロデ王。博士への「私も拝みにいくから」はもちろん大嘘。博士に場所を突き止めさせ、報告を受け、殺しに行くつもりだったのでしょう。その企みが失敗となれば、ベツレヘムの二歳以下の男児を大量虐殺するという悪行三昧。何が何でも、自らの王位を守ろうとする極悪人であります。
自己保身や出世のため主人公の抹殺を図ろうとする役柄と言えば、これはもうあの大和田常務しかありません。俳優は当然、香川照之であります。最後はなりふり構わず、半沢の社会的抹殺を図ったあの演技を、クリスマス劇でも期待したいのです。
実は、ローマ16章11節でパウロは「私の同国人ヘロデオンによろしく」と手紙に記しています。これは、ヘロデの子孫です。何とヘロデの王家から、救われる人々が起こされたのです。きっと王家に仕える奴隷や僕から福音が伝えられたのでしょう。
このことを受けて、聖書には記述はないのですが、ドラマ上の演出として、ヘロデ王の後日談を作ってしまいます。キリストの十字架と復活を知ったヘロデ王が、イエス様こそ王の王と知ると言う設定です。実は、そこから、ヘロデ家に福音が入り、後にローマ教会に集う信徒も生まれたと言うストーリーです。
自らの王位を守るために抹殺しようとしたその悪行に対して、自らのいのちを捨てて愛で応えたイエス様をヘロデは知るのです。我が罪に「愛の百倍返し」をされたと悟ったヘロデ王が、ラストシーンでは、イエス様の前にひざまづき、ひれ伏すのです。あの日本ドラマ史上に残るというわれる半沢直樹への土下座が再現されるのです。十字架と復活の後に、「あなたこそ、王の王、全世界の王、そして、私の王です。」との信仰告白を伴ってささげる土下座礼拝は、最高の感動を呼ぶのでは?
闇が深いほど、光が輝き出るように、香川照之の演技が優れているほど、キリストが王であることが、表現されていくのでは?
羊飼い、東方の博士、ヘロデ王と三回にわたってのキャスティングはいかがでしたでしょうか?クリスマスの出来事を現場に即してよりリアルに、またその恵みをより深く味わうために、三回の記事が役立てば感謝なことです。