先週から三回続けて、金城学院大学で非常勤講師として講義をしております。テーマは「人工妊娠中絶から考える人間の尊厳」。中絶を切り口に、女性と胎児の人権を考え、最終的には、神から委託された体と性、芽生えたいのちを大切にできる責任感と主体性のある女性になっていただきたいとアピールする内容であります。
そうした時に、タイミングが良いのか悪いのか、オリラジの藤森の中絶スキャンダルが暴露されました。大学の講義でも触れたいと思うのが、それについてのタレント、フィフィの苦言。こうしたシリアスな話題について、日本の芸能界やマスコミには、ニヤニヤ笑いが伴っているようです。フィフィはこれに違和感を覚えて、苦言をネット上に記しています。
「芸人の妊娠中絶報道」でなぜ笑いが・・・?外国人タレントが感じた”変”
http://www.rbbtoday.com/article/2012/12/11/99264.html
もちろん、これには「それには触れないで」や「応えづらいこと聞いてごめんね」と人間関係を円滑にする日本独自の笑顔ではあるでしょう。これは外国人には理解困難なもの。しかし、それを差し引いても、なお、尊いいのちが失われた現実の重さが忘れられています。3・11や原発の被害者の報道なら、こんなニヤニヤは大問題でしょう。やはり、フィフィの苦言は、正論だと思います。
3.11以来「いのちは大切」を大合唱している芸能界やマスコミの持っている矛盾した一面を露呈しているように思えてなりません。フィフィの苦言は、外国人だからこそできた、日本社会が持つ生命観の異常性の客観的指摘だと言えるでしょう。日本社会の問題は、マスコミと芸能界の価値観を視聴者が無批判に受け入れ、刷り込まれ、一般大衆の価値観として定着してしまうこと。その多くは、性、恋愛、結婚に関するもので、最終的には生命観にまで至るのでしょう。
フィフィのコメントはこちら。
http://www.rbbtoday.com/article/img/2012/12/11/99264/245054.html
芸能人がこうした発信をするのには、大きな勇気が必要なはず。自己保身なく、マスコミを敵にまわすことも厭わず、真実で大切な発信をして下さったフィフィに感謝します。